真正な雇用契約書の場合
法定項目がすべて網羅され、企業の正式な登録情報と一致しています。
- 労働契約の期間(有期か無期か)が明記されており、有期の場合は契約の終了日が記載されている
- 企業の正式な商号と登録住所、代表者名または人事責任者の氏名が記載されている
- 就業場所、従事する業務の内容、始業・終業時刻、所定労働時間が具体的に記載されている
- 基本給、手当、計算方法が明確に表示され、支給日が明記されている
- 企業のゴム印または署名があり、契約日と記載日付が一致している
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雇用契約書は、会社と従業員の間で労働条件を書面で取り交わす文書です。給与、勤務地、業務内容、労働時間など、仕事に関する重要な約束が記載されています。
厚生労働省の指導のもと、企業は労働条件通知書または雇用契約書の形で、従業員に対して必ず条件を明示することが義務付けられています。採用時や配置転換時に、採用企業側から応募者に提示されるのが通例です。
雇用契約書は採用企業が作成し、従業員に署名してもらう契約文書です。会社の人事部門または採用担当が担当します。
労働基準法第15条により、契約期間、就業場所、業務内容、始業・終業時刻、所定労働時間、賃金など、最低限の項目を明記することが定められています。
転職者や新卒者が、入社前または入社直後に企業から受け取ります。その後、本人と企業の双方が署名して初めて契約が成立します。
期間の定めのない契約もあれば、3年または5年などの有期契約もあります。契約の種類によって、更新や終了の条件が変わります。
雇用契約書を手にしたら、まずこれらが明記されているか確認しましょう。厚生労働省が定める労働基準法第15条で、会社が書面で示すべき内容が決まっています。抜けているものがあれば、署名前に会社に問い合わせて埋めてもらうのが鉄則です。
期間の定めがないか、有期なのか。有期の場合は終了日が明確に書かれていますか。原則として3年が上限です(専門職や60歳以上は5年まで延長可能)。ここが曖昧だと後々トラブルのもとになります。
どこで働くのか。支店や営業所など、具体的な場所が指定されていますか。転勤の可能性がある場合は別途書きぶりがあるはずです。
何をする仕事なのか、職務がはっきり書かれていますか。営業、企画、製造など、行う業務が明記されていなければ話が変わってきます。
始業時刻と終業時刻は決まっていますか。所定労働時間(法律で言う1日8時間、週40時間)がどうなっているのか確認します。
月給か時給か、金額は幾らか。いつ、どうやって払われるのか(銀行振込など)。昇給やボーナスについても触れられているか見ておきます。
週に何日休みなのか。有給休暇は法定通り与えられるのか。年間何日か、いつから使えるのかが書かれていますか。
辞める時の手続きや違約金、競業避止義務などが書かれていないか確認します。不当な条件がないかよく読んでおきます。
両者が署名・捺印しているか。片方だけでは契約として成立しません。自分の手元に控えがあるか、署名後に確認します。
採用担当者や人事責任者として、応募者から提示された雇用契約書の内容を丁寧に読み込むことは、後々のトラブルを未然に防ぐための重要な作業です。労働基準法では、使用者が労働者に対して書面で労働条件を明示することが義務付けられており、この契約書がその主な媒体になります。契約内容と実際の勤務条件がズレていないか、採用時点で認識を合わせておくことが、雇用関係全体の信頼性を左右します。
給与体系や勤務地、業務内容、労働時間といった基本要素が漏れていたり、曖昧に記載されていたりすれば、後から給与交渉や配置転換に関する紛争が生じるリスクが高まります。特に有期契約の場合、契約期間の上限や更新条件を明確にしておかないと、雇用の不安定さに関わる法的なトラブルに直面する可能性があります。書面段階での確認を丁寧に進めることで、入社後の認識ズレや紛争を大きく減らすことができます。
雇用契約書を受け取ったとき、それが正式な書類なのか、どこまで信頼していいのか迷うことはありませんか。実は、簡単なチェックポイントを4つ確認するだけで、その契約書が法律に沿っているかどうか判断できます。
契約書を手にしたら、まず「契約期間」の欄を探してください。期間の定めがない場合と、3年以内の有期契約のどちらかが書かれているはずです。60歳以上の労働者か専門的な業務であれば、最長5年までの期間が許可されます。期間がまったく書かれていない、または不明確な場合は注意が必要です。厚生労働省の労働契約に関するガイドラインでは、契約期間の明記が必須とされています。
次に、これら6つが書かれているかチェックしてください。1.契約期間、2.就業の場所、3.仕事内容、4.始業・終業時刻、5.所定労働時間、6.賃金です。どれか1つでも欠けていたら、それは不完全な契約書です。労働基準法第15条で、使用者は労働契約の締結に際して労働条件を書面で明示することが定められています。この6項目がなければ、後々トラブルになりやすいので、その場で企業に確認してください。
賃金欄を見てください。基本給の金額だけでなく、手当の有無、給与の計算方法(日給、月給、時給など)、毎月の支払日がきちんと書かれていますか。もし支払日が曖昧だったり、計算方法が記されていなかったりしたら、後で給与トラブルが起きる可能性があります。明確な記載があれば、その点は安全です。
書類の下部を見てください。会社の正式な名前、代表者の署名または印鑑、そして従業員である自分が署名または印鑑を押す欄があるはずです。どれか1つでも欠けていたり、不鮮明だったりする場合は、その書類は正式に成立していない可能性があります。また、渡すときにコピーではなく、正規の原本を受け取っているかも確認してください。
有期契約の場合、期間が終わったときにどうなるのか、更新の可能性はあるのか、または自動退職になるのかが書かれていますか。また、契約期間の途中で退職したい場合の条件(例:いつまで前に申し出るか)も同じように大事です。この部分が曖昧だと、契約満了時にトラブルになりやすいので、きちんと確認してください。
契約書がおかしいと感じたら、厚生労働省が公開している公式の労働条件通知書フォーマットと比べてください。そこに記載されている項目が、あなたの契約書にも同じように書かれているかチェックできます。もし大きなズレがあれば、その契約書は法律に沿っていない可能性が高いです。
厚生労働省が提供している労働契約の正式なガイドラインを参照することで、より詳しく契約内容を検証できます。
雇用契約書が本物かどうかを判断するには、厚生労働省が定めた必須項目がすべて書かれているか確認することが最初の一歩です。偽造や不正な内容の契約書は、この基本的な項目を落としていたり、明らかに法律に違反した条件を書いていたりします。以下の6つのポイントをチェックしてください。
原則として有期労働契約は3年が上限です。専門的な職種や60歳以上の労働者でない限り、5年を超える期間が書かれていたら赤信号です。期間の定めがない(いわゆる正社員契約)場合は、この制限は適用されませんが、有期契約なのに法外に長い期間が設定されていないか確認しましょう。
「給与は応相応」「売上に応じて」など、具体的な金額や計算基準が書かれていない契約書は問題があります。労働基準法第15条では、賃金額を明確に示すことが使用者の義務です。基本給、各種手当、控除項目がはっきり書かれているかチェックしてください。
「勤務地は別途指示」「業務内容は指示に従う」だけでは不十分です。どこで働くのか、何をするのかが曖昧だと、後から全く異なる条件に変更される可能性があります。具体的な部署名、建物の所在地、仕事の内容が書かれているか確認してください。
労働時間の定めがない契約書は違法です。何時から何時まで働くのか、休憩時間は何時間か、週に何日休むのか、これらが一切書かれていないなら、その契約書は厚生労働省が示す基準を満たしていません。
契約書の右下に会社の名義や代表者の署名・押印があるかを見てください。署名がプリントされているだけ、または押印がない場合は慎重になりましょう。本当の会社なら、法務や人事が一つひとつ署名と押印をしています。
有期契約の場合、その契約がどのような条件で更新されるのか(または更新されないのか)が明記されていることが重要です。「更新あり」と書いてあっても、実際には一方的に打ち切られるケースもあります。更新の手続きや判断基準がはっきり書かれているか確認しましょう。
退職金があると言っておきながら、実際には支払わない、または小さな文字で「支払わない」と書かれているような二重の条件は詐欺的です。福利厚生、社会保険の加入、退職時の手続きが明確に書かれているかチェックしてください。
試用期間が3ヶ月程度なら一般的ですが、6ヶ月以上の試用期間を設けながら『正社員』と称するのは不自然です。その間、給与が大きく下げられたり、簡単に解雇できるような条件になっていないか注意してください。
採用担当者様や人事部門の方が候補者から提出された雇用契約書を確認するとき、あるいは新入社員が受け取った契約書の内容を検証するときは、どこに目を向ければよいのでしょうか。
真正な雇用契約書には、厚生労働省が定める法定項目が正確に記載されており、企業名と押印、契約日時が一致しています。一方、不正な文書には、これらの要素が部分的に欠けたり、矛盾したりしています。
以下の2つの例を並べて、それぞれの特徴を確認してください。
法定項目がすべて網羅され、企業の正式な登録情報と一致しています。
必須項目の記載が不完全であったり、企業情報が曖昧であったりします。
雇用契約書の偽造や改ざんがどのくらい発生しているか、信頼できる公開統計データは限定的です。厚生労働省が提供する公式データベースには、全国規模の件数統計が集約されていません。
ただし、労働相談窓口への問い合わせや個別の労働紛争事件から、契約内容の食い違いや提示前の改ざんに関する相談が寄せられていることは確認されています。
您が候補者や労働者から提示された雇用契約書を検証する際、形式的な不備や法定記載事項の欠落は比較的簡単に見つけられます。偽造の可能性を判断するには、契約書の物理的特性だけでなく、発行企業への直接確認が最も確実な方法です。
候補者や従業員が雇用契約書を提示してきたとき、実は細工されたものではないか疑ってかかる必要があります。不正な契約書は見た目には正当に見えながらも、給与、勤務地、契約期間といった重要な条件が意図的に隠されたり改変されたりしています。
あなたが採用担当者や貸主の立場であれば、相手方の労働条件を本当に把握できているのか確認しなければなりません。また法務職や人事職なら、提示された書面の信頼性を検証する必要があります。
以下は、実務で見かかることのある改ざん手口です。それぞれを知ることで、危険な落とし穴を避けられます。
契約の始期は記入していても、終期を空白のままにするか、あるいは『応相談』『後日決定』といった非確定的な文言で埋めることがあります。相手方はこれを無期契約と主張し、あなたはむしろ有期契約のつもりでいるという齟齬が生じます。労働基準法第15条により、契約期間は明確に通知される必要があります。契約書の『契約期間』欄が具体的な日付で両側埋まっているか、改ざん痕跡や修正液の跡がないか確認してください。
給与額を意図的に空白にしたり、低い仮金額を記して『面接時に増額予定』という付せん紙が貼られていることがあります。本来なら雇用契約書の締結時に賃金は確定していなければなりません。後でトラブルになったとき、相手方は『書面に書かれていない約束だった』と言い張ることができます。賃金欄を確認する際、印字ではなく後から手書きされた痕跡、あるいは修正液の跡がないかよく見てください。
『勤務地: 応相談』『グループ企業の各事業所』といった広い範囲で記載し、実際の転配地が後から一方的に指示されるパターンです。こうすると遠隔地への配置転換を強制されても、契約書には反論できなくなります。労働基準法で通知義務のある『就業の場所』が具体的に記入されているかを確認し、複数の勤務地の可能性があるなら、その旨が明示されているか見極めてください。
『営業活動全般に従事する』『会社が指示する業務一切』といった抽象的で広すぎる記載により、実務では本来の職種と無関係な仕事を押し付けられる可能性があります。このような業務定義では、後から職種変更や不利な配転を強制されても、契約違反を主張しにくくなります。業務内容の欄に具体的な職務や部署が記入されているか、それとも曖昧な言葉で濁されているかを見極めてください。
所定労働時間や始業・終業時刻を、複数の異なる版の契約書に分けて記載し、本人に都合よく説明するケースがあります。或いは『勤務シフトは月ごとに決定』と記して実際の時間が確定しない状態のまま契約させられます。労働基準法では所定労働時間は明確に通知される必要があります。複数の契約書が存在しないか、一つの書面内に矛盾する時間表記がないかを確認してください。
相手方の署名が既に印字されているか、或いはあなたが署名した後に相手が署名欄に別の人物の名前を加えることがあります。このような書面は契約当事者の同意が不明確であり、後で『自分は署名していない』という争いになり得ます。署名欄に実際に直筆があるか、その署名が相手方の筆跡と一致しているか、できる範囲で確認してください。
元々の記載を修正液で消し、その上に異なる条件を上書きされていることがあります。修正液が厚く塗られている箇所は、本来どんな条件が書かれていたのか知る手段がなくなります。正式な書面であれば、訂正は二重線を引いてその上に署名するのが普通です。修正液の使用があれば、その箇所について相手方に明示的に説明を求め、元の条文を知ることができないようなら署名を控えるべきです。
有期雇用契約であるはずなのに、上限期限を超える期間で記載されていることがあります。例えば、専門業務や60歳以上でない通常の労働者なのに5年を超える契約期間を設定するなど、労働契約法の上限に違反しています。このような契約は法的に無効であり、トラブルの火種になります。提示された契約書の期間が妥当な範囲内か、職種や年齢に応じた法定上限を超えていないか確認してください。
雇用契約書を受け取ったとき、その内容が本物かどうか確認することは重要です。提示された契約書に違和感を感じたら、そのまま署名してはいけません。どのような対応をすべきか、具体的な手順をご説明します。
労働基準法第15条により、雇用契約書には契約期間、就業の場所、業務の内容、始業・終業時刻、所定労働時間、賃金の6項目が必ず記載されることが定められています。提示された契約書にこれらがすべて含まれているかをチェックしてください。記載がない、または不明瞭な場合は、説明を求めるべき警戒信号です。
有期労働契約の場合、原則として最長3年(専門的業務や60歳以上の者は最長5年)という上限が法律で決められています。これを超える期間が記載されていないか確認してください。合理的な理由なく法定上限を超える期間が示されている場合、その契約は有効性に問題がある可能性があります。
契約書に記載されている企業名、住所、代表者名が実際の企業情報と一致しているか、インターネット検索や企業登記簿で確認してください。名前は似ていても住所や電話番号が異なる、あるいは企業として存在しないなどの矛盾があれば、詐欺の可能性が高まります。
企業の署名欄に実在する代表者の直筆署名や企業印がないか、あるいは不自然に見える場合は注意が必要です。また、その契約書が本当に企業の公式文書なのか、企業の採用担当者に直接連絡して確認することをお勧めします。偽造防止のため、複数の連絡方法(電話、公式メール、採用ページ記載の連絡先)を使って検証してください。
少しでも不自然さを感じたら、その場で署名することなく、必ず企業に正式な契約書の再確認を求めてください。それでも不安が残る場合は、ハローワークや労働相談窓口、あるいは弁護士に相談することをお勧めします。偽造契約書に署名してしまうと、後々の紛争解決が複雑になる可能性があります。
採用面接を受けたり、転職を検討したりするとき、雇用契約書の提示を求める権利があります。これは法律で定められた基本的な権利です。
相手方が契約書を出さない、あるいは曖昧な内容のままで働き始めようとしている場合、どう対応すべきかを確認しましょう。
労働基準法第15条では、使用者が労働者に対して労働条件を書面で明示することが定められています。採用内定時や雇用契約締結時に、相手方から契約書または労働条件通知書の交付を受ける権利があります。この書面がなければ、口約束だけで働く状況になり、後々トラブルが生じやすくなります。
相手方が提示した契約書を受け取ったら、労働契約の期間、就業の場所、従事すべき業務の内容、始業・終業時刻、所定労働時間、賃金といった基本的な項目がすべて明記されているか確認してください。これらは法律で定められた必須事項です。1つでも欠けていれば、契約内容が不完全な状態です。
採用予定者や転職希望者から契約書の交付を求められて、それに応じない企業は法令違反です。面接担当者や人事部に対して、書面による契約条件の提示を明確に要求してください。メールや書面で『雇用契約書の交付をお願いします』と記録に残す形で連絡することが重要です。相手方が応じない場合、その企業との契約は慎重に進めるべきです。
相手方が有期労働契約を提示してきた場合、契約期間が合理的な期間に設定されているか確認しましょう。一般的には3年を上限としますが、専門的な業務や60歳以上の労働者の場合は5年までの設定が認められています。この期限を超える契約や、更新の見込みが不透明なまま契約させようとする場合は注意が必要です。
雇用契約書には、あなたの個人情報(氏名、生年月日、住所、銀行口座など)が記載されます。この情報をどのように管理し、どの部門と共有するのか、契約書に記述がなければ採用企業に確認してください。特に転職の場合、前職の情報をどう扱うかも重要です。情報管理に関する記載がない場合、その企業の情報保護体制が不十分な可能性があります。
雇用契約書は企業と労働者の間で交わす重要な文書です。誰かが持ってきた契約書が本当に有効なものなのか、どのような流れで作成されたのかを確認することは重要です。ここでは、正規の雇用契約書がどのように企業から労働者へ渡されるのかを見ていきます。
厚生労働省は労働契約に関する基準を定めており、企業はこれに従って契約書を作成する義務があります。あなたが受け取った契約書が、このような正規のプロセスを通じて発行されたものかどうかを判断する手助けになるでしょう。
企業の人事部または採用担当者が、労働契約書を作成します。この時点で、労働基準法第15条に基づいて、労働契約の期間、就業の場所、業務の内容、始業・終業時刻、所定労働時間、賃金といった必須項目がすべて記載される必要があります。企業独自のフォーマットを使う場合もありますし、厚生労働省が示す標準様式を参考にすることもあります。
企業の代理人(通常は採用担当者または管理職)と、採用される本人が契約書に署名と押印をします。両者が合意した証として、両者が契約書に記名押印することが一般的です。この段階では、口頭での約束ではなく、書面で確認されることが重要です。
署名・押印後、企業は労働者に契約書の写しを交付します。労働者はこの写しを保管し、自分がどのような条件で雇用されているのかをいつでも確認できるようにしておく必要があります。企業側も原本を保管します。正規のプロセスでは、労働者は必ず写しを受け取っています。
企業によっては、雇用契約書とは別に労働条件通知書を交付することもあります。これは厚生労働省が標準様式を提供している文書で、必須項目が記載されています。手持ちの契約書が企業から正式に渡されたものであれば、どちらか一方、または両方を受け取っているはずです。
受け取った契約書の内容が不明確だったり、労働条件が不適切に見えたりする場合は、企業に問い合わせる前に、都道府県の労働基準監督署や労働局に相談することができます。厚生労働省のウェブサイトでも労働契約に関する情報が公開されており、参考にすることができます。
採用面接を受けた候補者から雇用契約書を見せられたとき、それが本当に企業側から提示された正式な書類なのか、判断に困ることがあります。日本では似た名前の書類がいくつかあり、どれが法的に何を証明するのかは、採用担当者でも時々混同しています。
雇用契約書と労働条件通知書は目的が異なり、法的な重みも違います。また、実務では企業によって使い分けられ方もまちまちです。ここでは、その人が持ってきた書類が本当に何なのか、その違いを判断するコツをお伝えします。
雇用契約書は、企業と労働者の双方が署名(または記名押印)して初めて成立する書類です。労働契約法第18条に基づく正式な契約文書で、給与、勤務地、業務内容、労働時間といった重要事項が明記されます。企業側と労働者側の両者が署名済みの状態で渡されることが一般的です。つまり、その人が持っている雇用契約書に企業の代表者サイン欄がすでに埋まっていれば、企業側が承認した契約という証拠になります。
労働条件通知書(または労働条件明示書)は、企業が労働者に対して働く条件を書面で示すもので、企業側のみが署名します。労働基準法第15条で、採用が決まった時点で企業が労働者に通知することが義務付けられています。重要なのは、これは企業からの一方的な通知であり、労働者のサインは原則として不要です。ただし実務では、企業が受け取りを確認するために労働者の署名欄を設ける場合もあります。
雇用契約書は双方が署名した契約なので、破棄や大幅な変更には相互の合意が必要です。一度サイン済みで交わされたなら、その内容は法的に拘束力を持ちます。一方、労働条件通知書は企業からの一方的な通知なので、法的には労働者が署名しなくても成立します。ただし、実際の労働開始から契約内容に食い違いが出た場合、その人が契約書を持っていなければ労働条件の立証が難しくなる可能性があります。
法律上は労働条件通知書だけで足りますが、実務上は双方の後々のトラブル防止のため、雇用契約書(企業と労働者の両者が署名)を交わすことが推奨されています。きちんとした企業なら、採用決定時に労働条件通知書をまず渡し、その後、雇用契約書を取り交わすという二段階の流れで進めます。その人が持っている書類が『労働条件通知書』と書かれているのに企業のサインだけあり、本人サインがない場合、それはまだ『契約成立前の一方的通知』という段階かもしれません。
その人が『雇用契約書です』と言って見せてくれた書類で、まず確認すべきは企業側と本人側の両方にサイン欄があり、両方埋まっているかです。企業のサインだけあり本人のサインがなければ、それは通知段階で、契約が完全には成立していない可能性があります。また、『労働条件通知書』と明記されていないか確認してください。書類のタイトルと実際の内容(双方署名か片方署名か)に食い違いがないかは、採用の真実性を判断する手がかりになります。
ごくまれですが、候補者が面接を有利にするため、実在しない企業名や変更された給与額が入った『雇用契約書』を用意する詐欺事例があります。特に給与や待遇面が相場と大きくかけ離れている場合、その企業の公式ウェブサイトで採用情報と照合してください。また、電話番号やメールアドレスが企業の公式連絡先と異なれば、書類が偽造されたリスクは高まります。企業に直接確認する一本の電話が、詐欺を防ぐ最も確実な方法です。
給与、勤務地、労働時間、契約期間、退職条件など基本条件が正確に記載されているか必ず確認してください。特に試用期間の有無、残業代の計算方法、福利厚生についても目を通しておくと後々のトラブルを防げます。疑問な点があれば署名前に会社に質問して納得した上で判を押すことが大切です。
日本の労働基準法では、使用者が労働者に対して労働条件を書面で明示することが義務付けられています。つまり会社側は雇用契約書を用意する責任があり、労働者はそれをもらう権利があります。口約束だけで働き始めるのは後々もめごとの原因になるので避けましょう。
労働条件通知書は会社が労働者に義務付けられている最低限の通知書で、給与や労働時間などの基本条件を記載したものです。雇用契約書はそれより広範で、契約両者の合意内容や付加的なルールも含まれます。どちらも重要ですが、契約書の方がより詳しい内容を定めています。
給与、勤務地、配置転換の可能性、労働時間、休日、退職に関する事項、災害補償、退職金の有無、懲戒処分の種類などが主な項目です。会社によって異なりますが、これらの項目がないと後から解釈の相違が生じやすくなります。自分の労働条件が漏れなく書かれているか細かく確認することをお勧めします。
契約後の条件変更は双方の合意があれば可能ですが、会社が一方的に変えることはできません。変更する場合は新しい契約書を取り交わすか、変更内容を書面で残しておくことが重要です。給与や職務内容など重要な条件の変更は特に慎重に対応し、納得いかなければ交渉する権利があります。
契約期間の記載方法が異なります。正社員は期間の定めがない、契約社員は契約期間を明記するという点が大きな違いです。その他の給与や勤務条件についても、雇用形態によって異なることが多いので、自分の雇用形態に応じた契約内容になっているか確認が必要です。
会社に改めて契約書の写しをもらうよう請求してください。法律上、会社は労働条件を書面で明示する義務があるので、正当な要求です。もしもらえない場合は労働基準監督署に相談することができます。重要な書類なので、コピーを自分で保管しておくことも大事です。